動画撮影や風景撮影で活躍するNDフィルターとPLフィルター。
NDフィルターはレンズに入る光量を減らし、PLフィルターは水面やガラスなどの反射を抑えたり、空や植物の色を鮮やかに見せたりするために使います。
この2つを組み合わせることで、明るい屋外でもシャッタースピードをコントロールしながら、反射や色の見え方を調整できます。
そこで選択肢になるのが、NDフィルターとPLフィルターの機能をひとつにまとめた「ND/PL一体型フィルター」です。
ND/PL一体型は、フィルターを何枚も重ねずに使えるため、特にドローンやアクションカメラ、スマートフォンでの動画撮影に便利です。
一方で、NDフィルターとPLフィルターを別々に用意して重ね付けする方法にもメリットがあります。
では、どちらを選ぶのがよいのでしょうか。
この記事では、ND/PL一体型フィルターの仕組みやメリット・デメリット、ND+PLの重ね付けとの違い、撮影スタイル別の選び方を解説します。
NDフィルターとPLフィルターの役割をおさらい

まずは、それぞれのフィルターが何をするものなのか整理しておきましょう。
NDフィルター:光量を減らす
NDフィルターは、レンズに入る光量を減らすためのフィルターです。
明るい屋外で写真や動画を撮影するとき、光が多すぎると適正露出を得るためにシャッタースピードを速くしたり、絞りを絞ったりする必要があります。
しかし、動画撮影ではシャッタースピードを速くしすぎると、動きのブレが少なくなり、不自然に硬い映像に見えることがあります。
例えば、24fpsで映画のような自然な動きを狙う場合、シャッタースピードは1/50秒前後がひとつの目安です。
晴天の屋外では、その設定のままだと明るくなりすぎることがあります。NDフィルターで光量を減らせば、シャッタースピードを維持しながら露出を調整しやすくなります。
NDフィルターは、動画撮影において狙ったシャッタースピードを維持するための道具と考えると分かりやすいでしょう。
PLフィルター:反射を抑えて色や質感を引き出す
PLフィルターは、偏光フィルターとも呼ばれます。
水面やガラスなどの反射を抑えたり、葉の表面にある反射を軽減したりすることで、被写体本来の色や質感を見せやすくします。
例えば、風景撮影では次のような効果が期待できます。
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水面の反射を抑えて、水中の石や水底を見えやすくする
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植物の葉の反射を軽減し、緑の色を引き出す
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ガラス面の反射を抑える
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条件によって空の青や雲のコントラストを強調する
ただし、PLフィルターの効果は光の向きや被写体によって変わります。太陽の方向やレンズの向きによっては効果が弱くなったり、空の一部だけが暗くなったりすることもあります。
また、PLフィルターは光量も減らすため、使用時には露出への影響も考慮する必要があります。
ND/PL一体型フィルターとは?
ND/PL一体型フィルターは、NDフィルターとPLフィルターの機能をひとつにまとめた製品です。
製品によって構造や調整方法は異なりますが、一般的には光量を減らしながら、偏光効果によって反射をコントロールできるように設計されています。
例えば、ND16/PLやND32/PLといった製品では、ND16やND32に相当する減光効果と、PLフィルターの偏光効果を組み合わせています。
NDの数字は減光の強さを表し、PLは偏光機能を表します。
| 表記 | NDの減光量の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ND8/PL | 3段分 | 曇天や比較的光量の少ない屋外 |
| ND16/PL | 4段分 | 晴天時の動画撮影など |
| ND32/PL | 5段分 | 明るい屋外での動画撮影など |
| ND64/PL | 6段分 | 強い日差しのある環境など |
※製品によってラインアップは異なります。必要なND濃度は、天候、ISO、絞り、シャッタースピードなどによって変わります。
重要なのは、ND/PL一体型はNDとPLの機能をまとめたものであり、すべての状況に最適なフィルターというわけではないことです。
撮影環境によっては、一体型の利便性が大きなメリットになります。一方で、NDとPLを別々に使うほうが柔軟に対応できる場合もあります。
ND/PL一体型とND+PL重ね付けの違い
最も大きな違いは、フィルターの組み合わせをどこまで自由に変更できるかです。
ND/PL一体型は、1枚で減光と偏光の両方を利用できます。
一方、NDフィルターとPLフィルターを別々に用意すれば、NDだけを使う、PLだけを使う、両方を組み合わせる、といった使い分けが可能です。
| 比較項目 | ND/PL一体型 | ND+PL重ね付け |
|---|---|---|
| 取り付け | 1枚で済む | 基本的に2枚必要 |
| 携帯性 | 持ち運ぶ枚数を減らしやすい | 枚数が増えやすい |
| フィルター交換 | 比較的シンプル | 組み合わせによって手間が増える |
| ND濃度の変更 | 製品の濃度に依存 | 手持ちのNDを交換できる |
| NDだけで撮影 | 対応できない | ND単体で使用できる |
| PLだけで撮影 | 対応できない | PL単体で使用できる |
| 偏光効果の調整 | 可能 | PL側を回転させて調整しやすい |
| 画質への影響 | 光学設計や品質による | 重ねる枚数が増える |
| 広角時のケラレ | フィルターの厚みなどによる | 重ね付けで発生しやすくなる場合がある |
| 柔軟性 | 手軽さを重視 | 状況に合わせた使い分けを重視 |
一体型が優れているのは、主に手軽さと取り回しです。
一方、別々に用意する方法は、撮影条件に応じてND濃度やPLの使用有無を変更できる点が強みです。
ND/PL一体型フィルターのメリット

1. フィルター交換の手間を減らせる
ND/PL一体型の大きなメリットは、フィルターを何枚も取り付ける必要がないことです。
NDフィルターとPLフィルターを別々に使う場合、両方を取り付けたり、撮影条件が変わった際に組み合わせを変更したりする必要があります。
一体型なら、1枚で減光と偏光の効果を得られるため、撮影準備や交換の手間を減らせます。
特に、短い時間で次々と撮影する場面では、この違いが使いやすさに影響します。
2. フィルターを重ねる枚数を減らせる
NDフィルターとPLフィルターを重ね付けすると、レンズの前に複数のフィルター枠が並びます。
その結果、組み合わせによっては画面の隅が暗くなる「ケラレ」が発生することがあります。
特に広角レンズでは、フィルター枠の厚みが画角に影響しやすくなります。
ND/PL一体型なら、フィルターを1枚にまとめられるため、重ね付けによるケラレのリスクを抑えやすくなります。
ただし、一体型でも枠の厚みやレンズとの相性によってケラレが発生する可能性はあります。購入前に対応機種や使用できる焦点距離を確認しましょう。
3. ドローンやアクションカメラで扱いやすい
ND/PL一体型は、ドローンやアクションカメラのように、コンパクトな機材で撮影する場合にも適しています。
こうした機材では、フィルターの重量や取り付け方法が重要になります。
フィルターを重ねると重量が増えたり、取り付けに手間がかかったりする場合があります。
一体型であれば、減光と偏光を1枚にまとめられるため、持ち運ぶフィルターの枚数を減らしやすくなります。
ただし、ドローンではフィルターの重量がジンバルの動作に影響する可能性があります。機体やカメラに対応した専用品を選び、メーカーが指定する重量や使用条件を確認してください。
4. 動画撮影の準備をシンプルにできる
動画撮影では、フレームレートとシャッタースピードを決めたうえで、露出を調整することが重要です。
例えば24fpsで撮影する場合、1/50秒前後のシャッタースピードが目安になります。
晴天の屋外ではNDフィルターで光量を抑え、PLフィルターで水面や植物などの反射を調整することがあります。
ND/PL一体型なら、この2つの機能をひとつのフィルターで扱えるため、撮影前の準備をシンプルにできます。
特に、屋外で動画を撮影する機会が多い人にとっては、便利な選択肢です。
ND/PL一体型フィルターのデメリット
便利なND/PL一体型ですが、購入前に知っておきたい注意点もあります。
1. NDだけ、PLだけで使いにくい場合がある
ND/PL一体型は、減光と偏光を同時に利用することを前提とした製品です。
そのため、NDだけを使いたい場面や、PLだけを使いたい場面では、別々のフィルターを使うほうが適していることがあります。
例えば、動画撮影ではNDが必要でも、反射を抑える必要がないシーンがあります。
反対に、風景写真で反射を抑えたいものの、光量を大きく減らす必要がない場合もあります。
こうした場面では、NDとPLを別々に持っていたほうが、目的に合わせた使い分けがしやすくなります。
ただし、一体型製品の仕様によっては偏光効果を調整できるものもあります。購入前に、偏光効果の調整方法や使用条件を確認しましょう。
2. ND濃度を自由に変更できるわけではない
固定濃度のND/PL一体型では、NDの濃度は製品ごとに決まっています。
例えばND16/PLを持っていても、ND8相当やND32相当の減光が必要になった場合、同じフィルターで対応できるとは限りません。
そのため、天候や撮影環境が大きく変わる場合には、複数の濃度を用意する必要があります。
一方、NDとPLを別々に用意していれば、必要に応じてNDだけを交換することができます。
撮影場所を頻繁に移動する人や、さまざまな光の条件に対応したい人は、必要なND濃度のラインアップも含めて検討するとよいでしょう。
3. 偏光効果が強すぎると不自然に見えることがある
PLフィルターは、反射を抑えることで色や質感を引き出せます。
しかし、偏光効果を強くかければ、必ずよい結果になるわけではありません。
例えば、空の青が不自然に濃くなったり、水面の反射が消えすぎて現場の雰囲気が変わったりすることがあります。
また、広角レンズで青空を撮影すると、太陽との位置関係によって空の一部だけが暗くなることがあります。
これはND/PL一体型に限った問題ではなく、PLフィルター全般に共通する特徴です。
撮影時は効果を確認しながら調整し、必要に応じて偏光効果を弱めましょう。
4. 重ね付けより安いとは限らない
一体型は機能がまとまっているため便利ですが、必ずしも別々に購入するより安価とは限りません。
また、必要なND濃度が変わるたびにND/PL一体型を買い足すと、結果的に複数のフィルターが必要になることもあります。
すでにNDフィルターやPLフィルターを持っている場合は、手持ちの機材を活用したほうが費用を抑えられる可能性があります。
これからフィルターをそろえる人は、必要な濃度、使用頻度、対応機材を整理してから購入するとよいでしょう。
ND/PL一体型とND+PL重ね付け、画質に違いはある?
気になるのが、画質への影響です。
一体型と重ね付けのどちらが高画質かは、単純には決められません。フィルターの光学設計、ガラスの品質、コーティング、枠の構造などによって結果が変わるためです。
一般的には、フィルターを重ねる枚数が増えるほど、光が通過する光学面が増えます。そのため、製品や撮影条件によっては、反射やフレア、ゴーストなどの影響が出やすくなる可能性があります。
また、広角レンズでは枠の厚みが原因でケラレが発生する場合があります。
一体型なら、こうした重ね付けに伴うリスクを減らせる可能性があります。
ただし、一体型だから必ず高画質、あるいは重ね付けだから必ず画質が悪い、というわけではありません。
高品質なNDフィルターとPLフィルターを適切に組み合わせた場合、十分に高い画質を得られることもあります。
画質を重視するなら、次の点を確認しましょう。
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ガラスの品質
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反射防止コーティング
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色かぶりの少なさ
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フィルター枠の厚み
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使用するレンズとの相性
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逆光時のフレアやゴースト
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必要な濃度での画質評価
購入時には、スペックだけでなく、実際の作例やレビューも参考にすることをおすすめします。
動画撮影ならND/PL一体型はおすすめ?

動画撮影では、ND/PL一体型のメリットが生きる場面があります。
例えば、晴天の屋外で人物や風景を撮影する場合、NDフィルターで露出を調整しながら、PLフィルターで水面や葉の反射を抑えたいことがあります。
このような状況では、一体型が便利です。
一方、すべての動画撮影でPLが必要なわけではありません。
人物のインタビューや、反射を抑える必要がないシーンでは、NDだけで十分な場合もあります。
また、PLフィルターの効果は太陽との位置関係や被写体によって変わるため、意図した効果が得られないこともあります。
そのため、動画撮影が中心の人は、次のように考えると選びやすくなります。
ND/PL一体型が向いている人
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屋外での動画撮影が多い
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水面や植物などの反射を調整したい
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フィルター交換の手間を減らしたい
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ドローンやアクションカメラを使っている
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機材をコンパクトにまとめたい
NDとPLを別々に持つほうが向いている人
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NDだけを使う撮影が多い
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PLだけを使う撮影も多い
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撮影環境に応じてND濃度を細かく変えたい
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写真と動画で幅広く使い分けたい
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すでにNDフィルターやPLフィルターを持っている
迷ったらどう選ぶ?用途別のおすすめ
ND/PL一体型とND+PL重ね付けは、どちらか一方が常に優れているわけではありません。
重視するポイントによって、適した選択肢が変わります。
| 撮影スタイル | おすすめの考え方 | 理由 |
|---|---|---|
| ドローン撮影 | ND/PL一体型を検討 | 機材をコンパクトにまとめやすい |
| アクションカメラ | ND/PL一体型を検討 | 交換の手間を減らしやすい |
| 屋外の動画撮影 | 撮影内容に応じて選択 | NDとPLの両方が必要なら便利 |
| 風景写真 | NDとPLを別々に用意する方法も有効 | NDだけ、PLだけの使い分けができる |
| 長時間露光 | ND単体を優先して検討 | 強い減光が必要な場合がある |
| 人物撮影・インタビュー | ND単体で足りる場合が多い | PL効果が不要なシーンも多い |
| 幅広い撮影ジャンル | NDとPLを別々に用意 | 組み合わせの自由度が高い |
特に重要なのは、PLの効果を必要とする撮影がどのくらいあるかという点です。
屋外の風景や水辺を撮影することが多いなら、一体型の利便性を活かしやすいでしょう。
一方、NDだけを使う撮影が中心なら、ND/PL一体型にこだわる必要はありません。
まとめ:ND/PL一体型は手軽さ重視、重ね付けは柔軟性重視
ND/PL一体型フィルターは、NDフィルターとPLフィルターの機能を1枚にまとめた便利なアイテムです。
フィルター交換の手間を減らし、重ね付けによるケラレのリスクを抑えやすいことから、ドローンやアクションカメラ、屋外での動画撮影に向いています。
一方、NDフィルターとPLフィルターを別々に用意する方法には、必要に応じてND濃度やPLの使用有無を変更できるメリットがあります。
選び方を整理すると、次のとおりです。
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手軽さや携帯性を重視するなら、ND/PL一体型
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撮影条件に合わせて柔軟に使い分けたいなら、ND+PLの別々運用
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NDだけを使う場面が多いなら、ND単体も有力な選択肢
どちらを選ぶか迷ったら、まずは自分がよく撮影する被写体と環境を振り返ってみましょう。
水面や植物の反射を抑えながら動画を撮ることが多いのか、それともNDだけでシャッタースピードを調整することが多いのか。
この違いを考えるだけでも、自分に合ったフィルターを選びやすくなります。
ND/PL一体型は、すべての撮影を万能にこなすためのフィルターというより、NDとPLを同時に使いたい場面で、撮影を効率化するための選択肢です。
撮影スタイルに合ったフィルターを選び、露出や反射をコントロールしながら、写真や動画の表現の幅を広げていきましょう。








